私は2008年頃に画家として自身のアーティストのキャリアを開始しました。美術を学び始めた当初から、特に近現代のドイツの画家や写真家たちに関心を持ち、現代社会において変わりゆく現実の在り方を絵画や写真を通して表現した彼らの芸術の在り方に大きな影響を受けました。近年は、美術館やギャラリーの展示室を題材としながら、ドローイング、写真、様々な印刷技術、模型、3DCG、映像、サウンド、建築などの様々な表現領域にまたがって作品制作を行っています。しかし、そのような多様な表現メディアを横断する自身のアプローチは、一歩一歩、絵画という分野から地続きに展開してきたものです。私は、筆と絵具とキャンバスで制作したイメージだけを絵画として捉えるのではなく、そのメディウムとしての意味の射程はより広く設定されうるべきだと考えています。ここでは、この十年間の自作における「メディウム・スタディー(表現表現メディアの研究とその実践)」を一つの事例として紹介しながら、「絵画」と「絵画性」について考察する機会を作りたいと思います。
東京藝術大学 油画 特別講義 (自作論) 終了