2020年度 広島市立大学「油絵基礎演習」実技課題 終了

自室あるいは生活環境から

Christian Boltanski(1936 -)
L’ Appartement De La Rue De Vaugirard
1972
7′00″

 

【課題文】
2020.06.02. 広島市立大学 油絵専攻「油絵基礎演習」課題文「自室あるいは生活環境から」> Google Docs.

 

【課題説明】
 画家やアーティストは、それぞれが生まれ育った場所あるいは生活する環境の様々な条件から作品制作を出発します。また「家」や「部屋」というパーソナルな場所には自ずとそこに暮らす人のパーソナリティ(人間性)やリアリティ(真実性)が反映され、そこで過ごした時間の痕跡が刻まれていきます。そして近現代の多くの画家・アーティストたちが、自身の生活空間を題材とした絵画作品・アート作品を制作してきました。彼らは閉ざされた私的空間の中を注意深く観察し、そこから生まれたインスピレーションや問題意識を作品の主題やその背景に設定したのです。
 本課題に取り組むにあたって、まず皆さんの身の回りの状況を改めて見渡してみてください。新入生である皆さんの中には、親元や郷里を離れ一人暮らしを始めたばかりの学生もいるでしょう。出来たばかりの「自分の部屋」は、これからの新生活の展望を反映するものではないでしょうか。あるいは、各自の趣味や関心に基づいて収集した衣服や家具、コレクションなどの中に、皆さんのアイデンティティを端的に物語る事物が見つかるかもしれません。
 自室や生活空間の中で気づいたこと、発見したこと、注目した風景を題材にして作品を創ってみましょう。

 

【授業概要】
 昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を踏まえて、当初予定されていた油絵専攻一年次対象の実技課題を自宅課題に変更します。本課題説明文と初日6月2日のオンラインでのガイダンスとレクチャーの内容を踏まえて、主に自宅で制作を行ってください。
 課題期間の6月03〜04日にウェブ会議アプリケーションZoomを用いてオンラインでの個別のチュートリアル(面談)を行い、各自の制作方針についての相談を受け付けます。6月8日から大学施設内での制作が一部可能になります。自宅での制作が難しい作品内容を計画している学生は、6月03〜04日のオンライン面談の中で教員に申し出ること。課題最終日の6月19日には、作品の現物あるいはその記録を大学へ持参して対面形式での講評か、オンラインでの個別講評を行います。

 

【対象】
広島市立大学 芸術学部 美術学科 油絵専攻の学部一年次に在籍する学生。

 

【期間】
2020年 6月2日〜 2020年 6月19日

 

【表現手法】
絵画作品。あるいは、ドローイング、写真、映像、立体作品など、任意の表現素材・手法・サイズに基づいて自由に制作に取り組んで良い。

 

【広島市立大学 シラバス】
http://rsw.office.hiroshima-cu.ac.jp/OpenSyllabus/2020_31334101.html

※ シラバスの内容と一部プログラムの変更があります。

 


 

【関連レクチャー】

Class Ryohei Kan 2020 第2回

古川諒子 自作レクチャー「記憶を呼び覚ます装置としての絵画」

日時:2020年6月11日(木) 16:00-17:30(質疑応答を含む)
受講:広島市立大学 芸術学部 (オンライン)

 

Dancing in the sea #4
2019
530mm×530mm
Acrylic on cotton canvas
©Ryoko Furukawa

【企画名】
古川諒子 自作レクチャー
「記憶を呼び覚ます装置としての絵画」

 

【企画概要】
日時:2020年6月11日(木) 16:00-17:30(質疑応答を含む)
対象:広島市立大学 芸術学部 在籍生のうち希望者
受講:広島市立大学 芸術学部 (オンライン)

登壇:古川諒子(画家 / 広島市立大学 大学院 芸術学研究科 博士前期課程在籍)
司会:菅亮平(美術作家 / 広島市立大学 芸術学部 講師)

 

【企画趣旨】
 広島市立大学芸術学部油絵専攻において、本学大学院芸術学研究科博士前期課程に在籍する画家の古川諒子の自作レクチャーを開催する。
 1994年に兵庫県に生まれた古川諒子は、「記憶を呼び覚ます装置としての絵画」をテーマとし、さまざまなドローイングの手法を駆使して数多くの絵画作品を制作している。2020年に発表した《Nobody in the room (家に人は不在 / いる気配はある)》では、かつて自身が暮らした家を題材として描いた複数のキャンバスを組み合わせて、断片化された記憶の再構築を試みている。古川の絵画において特徴的な淡い色調に溶け込んだ線のストロークは、不確かなる記憶の中の事物の浮遊性を捉えんとする作者によって慎重に選び取られたものに他ならない。
 また一方で、そこに住まう人々の時間軸が色濃く刻まれた「家」という場の場所性への古川の鋭敏な眼差しは、そのような私的空間に残された人間の気配にも向けられる。《Dancing in the sea》のシリーズにおいては、室内の中で折り重なるように寄り添う人物像がさまざまなシチュエーションで描かれる。「赤の他人の人生は追体験するものとしてあり得るのか」と問う古川にとって、それらの絵画シリーズの中に登場する表情が無く匿名性を帯びた抽象的な人物の表象は、「家」という題材を通して古川が手繰り寄せた「私の記憶」が「私たちの記憶」として鑑賞者に転化されることへの期待の表れなのだろうか。
 本レクチャーでは、古川の創作の軌跡を作者自身が辿りながら、「記憶」や「気配」という不可視なるものの追求と絵画という造形言語の関係性について、本学講師の菅亮平と受講生を交えて議論を深める場としたい。

 

【登壇者 経歴】
古川諒子(ふるかわりょうこ)。1994年兵庫県生まれ。2020年広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻卒業、現在は広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程に在籍。 近年の主な展覧会に、個展「顔のないゆうれい」( 本と自由 / 広島 / 2019年)などがある。
アーティストウェブサイト:http://ryokofurukawa.mystrikingly.com/

 

【企画・担当】
菅亮平(美術作家 / 広島市立大学 芸術学部 講師)

 

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